結婚式のエンドロールは、映画のエンドクレジットのように、披露宴の最後に流れる特別な映像演出です。ゲストへの感謝の気持ちを伝え、当日の感動を再び分かち合うために、多くの新郎新婦にとって欠かせないクライマックスとなっています。しかし、「どのように作れば良いか」「何を含めるべきか」「費用はどのくらいかかるのか」など、悩む方も少なくありません。
この記事では、エンドロールの基本構成から、手軽な自作方法、無料テンプレートの活用、そしてプロに依頼する際の判断基準まで、エンドロール作成に関するあらゆる情報を網羅的に解説します。後悔のない、記憶に残るエンドロールムービーを作るための秘訣を、企画段階から制作、そして上映当日の注意点まで、プロの視点も交えてご紹介します。
エンドロールは、単なる記録映像ではなく、ゲストへの感謝を伝える「おもてなし」の集大成です。新郎新婦の想いを込めることで、より心温まる感動的な演出になります。
結婚式エンドロールの基本と役割
エンドロールは、結婚式という特別な一日を締めくくる、感動的なフィナーレを飾るための重要な要素です。ここでは、エンドロールが持つ役割と目的について深く掘り下げて解説します。
エンドロールとは?その定義と目的
エンドロールは、結婚式の最後に上映される映像で、映画のエンドクレジットのように、参列してくれたゲストへの感謝の気持ちを伝えるものです。 結婚式のハイライトシーンや、新郎新婦からのメッセージ、ゲストの名前などを盛り込み、感動的で心温まる締めくくりとして、多くのカップルに選ばれています。
リクルートブライダル総研の調査によると、エンドロールを上映するカップルは全体の約7割に上り、その主な目的は「ゲストに楽しんでほしい」「ゲストに感謝の気持ちを伝えたかった」という点が挙げられています。 ゲスト一人ひとりの名前を丁寧に表示し、感謝のメッセージを添えることで、より心温まるエンドロールを作成できます。
エンドロールに含めるべき情報と構成要素
エンドロールを構成する要素は多岐に渡ります。ここでは、エンドロールに含めるべき基本的な情報と、効果的な流れについて解説します。
含めるべき情報
エンドロールには、以下の情報を含めるのが一般的です。
- 新郎新婦の名前
- 結婚式の日付
- ゲストの名前(敬称に注意)
- 感謝のメッセージ
- 結婚式のハイライトシーン(写真や動画)
- 特別な思い出やエピソード
- 「Special Thanks」として、結婚式準備を手伝ってくれた友人やスタッフの名前
これらの情報をバランス良く盛り込むことで、ゲストへの感謝の気持ちが伝わる、感動的なエンドロールを作成できます。
流れと順序
エンドロールの流れは、一般的に以下の順序で構成されます。
- オープニング(結婚式のテーマに合わせた映像や音楽、タイトル)
- 結婚式のハイライトシーン(写真や動画)
- ゲストの名前と感謝のメッセージ(新郎側ゲスト、新婦側ゲストに分けて紹介)
- 新郎新婦からのメッセージ
- エンドロールの締めくくり(日付、新郎新婦の名前)
この順序を守ることで、スムーズで感動的なエンドロールを作成することができます。
エンドロールの構成に厳密なルールはありませんが、広く受け入れられている基本的な形をベースに、オリジナルの要素を加えていくと、より新郎新婦らしいエンドロールになります。
ゲストの名前表示とメッセージのコツ
ゲストの名前表示のルールと敬称
エンドロールの最大の特徴であるゲストロールは、失礼がないように名前の順番や敬称に注意が必要です。
- 敬称:基本的に「○○○○様」を使用します。,
- 両親:ご両親には敬称をつけないのが一般的です。,
- 未婚の兄弟姉妹:何もつけなくて良いでしょう。
- 小学生以下のお子様:「ちゃん」「くん」でも構いません。,
- 恩師:「先生」または「様」のどちらでも大丈夫です。
名前の順番は、席次表と同じように目上の方から表示し、最後を家族にするのが一般的なマナーです。,
一般的な並び順:
主賓 → 職場関係 → 友人関係 → 親族 → 家族,
カジュアルなパーティーでは、あえて順番をつけず、五十音順で紹介するパターンもあります。
心温まるメッセージの例文
ゲストへのメッセージは、簡潔で心温まる内容にすると良いでしょう。 20文字程度の短いメッセージが読みやすくおすすめです。
締めのコメント例文:,
- 本日はお忙しい中、私達の結婚式にお越しいただき誠にありがとうございました。
- この日のことは一生忘れません。これからもよろしくお願いいたします。
- 皆様のおかげで素晴らしい一日になりました。心からの感謝を込めて。
ゲスト別のメッセージ例:,,
対象 | メッセージ例 |
---|---|
両親 | 「いままで育ててくださって感謝です。これからも時々叱ってください。」 |
会社関係 | 「いつも親切丁寧にご指導頂きありがとうございます。今後もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。」, |
友人 | 「今日は余興ありがとう!最高の友人たちです!またみんなで旅行いこうね!」 |
親族 | 「遠方よりお越しいただきありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。」 |
ゲストの名前やメッセージは、誤字脱字がないよう、複数人で入念にチェックしましょう。特に旧字体や特殊な漢字には注意が必要です。,

エンドロールの流れを決める際は、実際に流す順序を頭の中でシミュレーションすると良いですよ。ゲストの顔を思い浮かべながらメッセージを考えると、よりパーソナルな内容になります。
エンドロールの作成方法:自作 vs プロ依頼
エンドロールの作成方法は、大きく分けて自作とプロへの依頼の2つがあります。ここでは、それぞれの方法について詳しく解説します。
エンドロールを自作する
エンドロールを自作する場合、費用を抑えられるという大きなメリットがあります。 また、自分たちのこだわりや想いを細部まで反映できるため、よりパーソナルでオリジナリティ溢れる映像に仕上げることが可能です。 しかし、ある程度の時間と手間がかかる点は考慮が必要です。
自作の基本ステップ
エンドロールを自作する際の基本的なステップは以下の通りです。,
- コンセプトと構成の決定:どのような情報を盛り込み、どのような雰囲気にするかを決めます。
- 素材の準備:写真、動画、音楽などを集めます。特にゲストとの思い出の写真や動画は喜ばれます。,
- 編集ソフトの選定と導入:自分に合った動画編集ソフトを選び、使い方を習得します。
- 編集作業:素材をタイムラインに並べ、テキストや音楽、エフェクトを追加します。
- 確認と修正:完成したエンドロールを試写し、問題がないか確認し、必要に応じて修正します。
- DVD書き出しと式場での確認:式場の指定する形式で書き出し、必ず事前に会場で上映テストを行いましょう。

まずはシンプルな構成から始めると、後で修正がしやすくなります。素材は多めに集めておき、編集段階で厳選すると良いでしょう。
おすすめツールとソフトウェア
エンドロールを簡単に作成できるツールやソフトウェアはたくさんあります。初心者でも手軽に挑戦できるよう、代表的なものを紹介します。
- iMovie(iOS、macOS):Apple製品に標準搭載されており、初心者でも使いやすいインターフェースが特徴です。, デフォルトでエンドロールのテキストレイアウトが用意されています。
- Windowsムービーメーカー(Windows):基本的な編集機能が揃っており、無料で利用できます。
- Canva(オンライン):豊富なテンプレートと直感的な操作で、デザイン性の高いエンドロールを簡単に作成できます。,,
- InShot(スマートフォンアプリ):手軽にスマホで編集したい場合に便利です。
- Filmora(Windows、macOS):初心者から中級者まで幅広く対応し、おしゃれなエフェクトやテンプレートが豊富です。
- DaVinci Resolve(Windows、macOS、Linux):プロも使用する高機能な無料ソフトで、本格的な編集が可能です。
- Adobe Premiere Pro(Windows、macOS):プロも使用する高機能な編集ソフトです。 テンプレートも豊富で、時間をかけずに美しいエンドロールが完成します。 Adobe Premiere Proの詳細はこちら
自作の場合、パソコンは必須ではありませんが、スマホよりもパソコンの方が作業効率が格段に上がります。



最初に素材をすべて揃えておくと、編集作業がスムーズに進みますよ。特に写真や動画は、高画質なものを選ぶと仕上がりが格段に良くなります。
プロに依頼する
エンドロールをプロに依頼する場合、高品質な映像が期待できるという大きなメリットがあります。 また、新郎新婦は準備に時間や手間をかけずに済み、当日は式そのものに集中できるという利点もあります。 しかし、費用が高くなる傾向があるため、予算との兼ね合いで検討が必要です。
プロに依頼するメリット・デメリット
プロに依頼するメリットは、以下の通りです。
- 高品質な映像:プロの撮影機材と編集スキルにより、美しい映像が期待できます。
- 時間と手間の節約:撮影から編集まで全て任せられるため、新郎新婦の負担が大幅に軽減されます。
- プロの視点からのアドバイス:構成や演出について専門的な意見をもらえます。
- 高い信頼性:トラブル対策も万全で、安心して当日を迎えられます。
一方、デメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 費用が高くなる:自作に比べてコストがかかります。
- 自分たちの意向が完全に反映されない可能性:イメージのすり合わせが不十分だと、期待と異なる仕上がりになることも。
- 持ち込み料が発生する場合がある:式場によっては、外部業者への持ち込み料がかかることがあります。
費用相場と依頼先の選び方
プロに依頼する場合の費用相場は、業者やプラン、エンドロールの種類によって大きく異なります。,
- 事前準備のエンドロール:5万円〜10万円程度
- 撮って出しエンドロール(当日撮影・編集):20万円〜30万円程度,
撮って出しエンドロールは、結婚式当日の様子を撮影し、その日のうちに編集して上映するもので、臨場感あふれる映像が魅力です。
費用を抑えたい場合は、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。 また、式場提携業者だけでなく、外部の動画制作会社も検討すると選択肢が広がります。,
プロに依頼する際は、クリエイターの過去の作品をチェックし、自分たちの希望するイメージに合っているかを見極めることが重要です。 また、担当者との綿密な打ち合わせで、具体的な要望を伝えるようにしましょう。
テンプレートとサンプルを活用する
エンドロール作成をより簡単にするために、テンプレートやサンプル動画を積極的に活用しましょう。
無料テンプレートの活用術
エンドロールのテンプレートを無料で提供しているサイトも多数存在します。これらのテンプレートを利用することで、手軽にプロフェッショナルなエンドロールを作成することができます。,,
おすすめの無料テンプレートサイト:
- nf-bridal.com (無料テンプレート)
- Canva,,
- Adobe Spark,
- MotionElements (動画素材も豊富)
無料テンプレートのメリットはコストがかからない点ですが、デザインのバリエーションが限られたり、カスタマイズが難しい場合がある点には注意が必要です。 一方、有料テンプレートはプロフェッショナルなデザインが多く、カスタマイズ性が高いという魅力があります。

サンプル動画を参考にする
サンプル動画を参考にすることで、どのようなエンドロールが良いかイメージしやすくなります。特に、構成や流れ、音楽の選び方などを参考にすると、自分たちのエンドロール作成に役立ちます。
サンプル動画を見る際は、単に「おしゃれ」というだけでなく、自分たちの結婚式のテーマや雰囲気に合うか、ゲストに伝えたいメッセージが表現されているか、といった視点で選ぶと良いでしょう。

サンプル動画を見て、自分たちのイメージに合ったものを探してみてください。気に入った演出やデザインがあれば、積極的に取り入れてみましょう。
エンドロールを彩る要素と著作権
エンドロールの質を高めるためには、映像、音楽、テキストの選び方が重要です。特に音楽に関しては、著作権に十分な注意が必要です。
音楽の選び方と著作権の注意点
音楽はエンドロールの雰囲気を大きく左右する重要な要素です。 感動的なシーンにはゆったりとしたバラードを、楽しいシーンにはアップテンポの曲を選ぶと良いでしょう。音楽と映像の調和を考えて選曲することが大切です。
著作権について:
結婚式で市販の楽曲を使用する場合、著作権(作詞家・作曲家)と著作隣接権(レコード会社・アーティスト)の2つの権利をクリアする必要があります。, 無断で使用すると、著作権法違反となり罰則の対象となる可能性があります。
- 演奏権:会場でBGMとして流す際に必要。式場がJASRACと包括契約を結んでいれば問題ない場合が多いですが、事前に確認が必要です。
- 複製権:ムービーに楽曲を組み込む際に必要。ISUM(一般社団法人 音楽特定利用促進機構)を通じて許諾を得るのが一般的です。,,
ISUMに登録されている楽曲であれば、適法に利用できます。 著作権フリーの音楽素材サイトや、ISUMと提携している業者から楽曲を選ぶのが安全です。
Epidemic Soundで音楽を探す (著作権フリーの音楽素材サイトの一例)
ダウンロードした音楽やストリーミングサービスの楽曲を、そのままエンドロールに使用することは著作権侵害にあたる可能性が高いです。必ず正規の手続きを踏むか、著作権フリーの音源を利用しましょう。
映像の選び方と編集のコツ
写真や動画をエンドロールに取り入れることで、より感動的な演出が可能になります。特に、結婚式当日の写真や二人の思い出の写真を使用すると、ゲストにも喜ばれます。
- 写真の選定:ゲストが写っている写真を選ぶと、より感謝の気持ちが伝わります。 全員が一度は写るように配慮できると理想的です。
- 動画素材:プロポーズシーン、前撮り、日常の何気ない瞬間など、二人の個性が光る動画を取り入れると良いでしょう。
- 枚数と長さ:あまり多くの写真や動画を入れすぎると、全体が散漫になるので注意が必要です。エンドロールの長さは3〜5分程度が理想とされています。,
- 編集の工夫:写真や動画の切り替えのタイミングを音楽に合わせる、エフェクトやトランジションを効果的に使うことで、プロのような仕上がりになります。
テキストの書き方とデザイン
感謝のメッセージは、シンプルで心温まる内容にすると良いでしょう。 テキストのフォントや色、表示方法もエンドロールの印象を大きく左右します。
- フォント:読みやすく、結婚式の雰囲気に合ったフォントを選びましょう。
- 色と背景:背景と文字のコントラストをはっきりさせ、視認性を高めることが重要です。
- 表示方法:映画のエンドクレジットのように下から上にスクロールする「縦ロール」が一般的です。,

ゲストの名前は、感謝の気持ちを込めて一人一人丁寧に記載しましょう。特に、漢字の間違いや敬称の付け忘れは失礼にあたるので、最終チェックは複数人で行うのがおすすめです。
エンドロール上映時の注意点と失敗しないための対策
エンドロールを上映する際には、いくつかの注意点があります。最高の感動を届けるために、事前に確認すべきポイントを押さえておきましょう。
最適な上映タイミング
エンドロールを流すタイミングは、結婚式の最後のシーンが一般的です。特に、披露宴の終了直前、新郎新婦が退場する直前、または退場と同時に流すことで、ゲストに感謝の気持ちを伝えることができます。,
- 新郎新婦退場直前:新郎新婦も一緒に映像を見ることができ、ゲストとの感動を共有しやすいタイミングです。
- 新郎新婦退場と同時:退場の演出と一体となり、スムーズな流れで感動を深めます。
- 新郎新婦退場後、ゲスト退場まで:ゲストがゆっくりと余韻に浸りながら見送りの準備ができるメリットがあります。
司会者やプランナーと綿密に連携し、ムービー開始前のアナウンスや照明の調整など、スムーズな上映開始のための準備を怠らないようにしましょう。
上映方法と機材の確認
エンドロールを上映する際の注意点として、映像のクオリティや音響設備が挙げられます。特に、映像が途切れたり音が聞こえにくかったりすると、感動が半減してしまいます。
- 事前のリハーサル:必ず会場のプロジェクターや音響設備を使って、本番と同じ環境で試写を行いましょう。
- ファイル形式の確認:式場が指定するファイル形式(MP4、MOVなど)や解像度、アスペクト比(16:9など)を事前に確認し、それに合わせて書き出しましょう。
- バックアップの準備:万が一のトラブルに備え、複数のメディア(USBメモリ、DVDなど)にバックアップを用意しておくと安心です。

リハーサルを行い、映像と音響のチェックを忘れずに。特に、ゲストの名前が読めるか、音楽の音量は適切か、といった点は入念に確認しましょう。
ありがちな失敗談と対策
エンドロール作成で後悔しないためには、よくある失敗例とその対策を知っておくことが重要です。,
失敗談 | 対策 |
---|---|
ゲストの名前間違い・漏れ, | ゲストリストを複数人で何度もチェックする。特に旧字体や特殊な漢字に注意。 |
著作権侵害, | ISUM登録楽曲や著作権フリー音源を使用する。式場や業者に確認する。 |
映像のクオリティが低い | 高画質な素材を使用する。編集ソフトの機能を活用する。不安ならプロに相談する。 |
上映時間が長すぎる・短すぎる | 3〜5分を目安に調整する。ゲストの人数や写真の枚数に合わせて調整する。 |
上映当日の機材トラブル | 事前のリハーサルを徹底する。バックアップを用意する。式場スタッフと連携する。 |
内輪ネタが多すぎる | 誰が見ても楽しめる内容にする。特定のゲストにしか分からない内容は控える。 |

エンドロールは、ゲストへの感謝を伝えるためのものです。自分たちの満足度だけでなく、ゲストが楽しめるか、感動できるかという視点も大切にしましょう。
まとめ
結婚式のエンドロールは、ゲストへの感謝の気持ちを伝える大切なシーンであり、結婚式を感動的なフィナーレで締めくくるための重要な演出です。この記事では、エンドロールの基本構成から、手軽な自作方法、無料テンプレートの活用、そしてプロに依頼する際の判断まで、エンドロール作成に関するあらゆる情報を網羅的に解説しました。
自作であれば費用を抑えつつオリジナリティを追求でき、プロに依頼すれば高品質で安心感のある映像が手に入ります。どちらの選択肢も、メリット・デメリットを理解した上で、ご自身の状況や予算、こだわりに応じて最適な方法を選びましょう。音楽の著作権やゲストの名前の確認など、細部にまで気を配ることで、後悔のない、最高の感動を呼ぶエンドロールが完成します。
この記事を参考に、お二人らしい素敵なエンドロールを作成し、ゲストの心に深く刻まれる最高の結婚式を演出してください。

細部にこだわることで、より感動的なエンドロールが完成します。準備期間も二人の大切な思い出となるよう、楽しみながら制作を進めてくださいね。